馬の能力を見る方法の一つとして「スピード指数」を取り上げました。
僕は使っているのはタイムフィルターという有料の商品なのですが、この使い方についての問い合わせが多かったので、補講としてもう少し掘り下げて解説しようと思います
注:この文章は2021年に出した新作本用に描き下ろした補講ですが、こちらをご購入頂いた方にも見て頂く必要があると判断したので掲載しました。
タイムフィルターの基本的な見方
有料版でも無料お試し版でも、下記のような表示となっています。
数字解説
左上段:日付・コース・距離
左中段:スタート指数(49)-ミドル指数(58)-ラスト指数(88)
左下段:ダッシュ指数(21)-通過順位(08-10)-着順(3着)
右上:TF指数(84)
右下:ペースパターン(U)
となります。指数自体は全て斤量補正されたものです。
また、TF指数についての構成要素は下記の通りとなります。
出典:https://www.timefilter.com/tf/static/about/
言い換えれば能力部分にあたります。
TF指数(右上)の数字は大きく書かれているように、この数字を見るのが基本です。
「ペースパターン」とは、S・M・Lの各指数の数値の組み合わせを9つのパターンに分類することで、レースのペースを表したものとなっています。
引用出典:https://www.timefilter.com/tf/static/about/
1頭1頭見ればわかりますが、指数が安定している馬は殆どいません。
そのため1つ1つ「どうして指数が低かったのか?」「どうして指数が高かったのか?」を考察する必要があります。
不得意な条件だったのか?
レース中に不利があったのか?
仕上がりが悪かったのか(レース中の怪我?)
などです。
指数が低くなる要因が無いのに、他馬と比べて指数が低い場合は「逆転する可能性が低いので消し」という判断となります。
調べる方法については、本編で書いた通り、結局はJRAの結果ページに行き着きます。
さすがに全頭の全指数まで確認してませんが、時間のかかる作業です。
そのため、1レースを予想するのに、1時間から1時間半ぐらいはかかります(これは当日のパドックや馬券購入時間は含んでいません)。
あと注意して頂きたいのは、僕がタイムフィルターを推しているのは、誰でも購入出来る市販のスピード指数の中では優秀だからであって、タイムフィルター自体が完璧というわけではありません。
タイムフィルター、実は20年以上前から存在している商品です。
言うまでもなく、20年前よりも競馬は大きく変わっております。
使ってて近年特に感じるのが、スローペースの補正をもう少し大きくかける必要があるという点です。
スピード指数は基本的に「走破タイム」を評価するモノですから、前半のペースが速ければ速いほど指数は出やすいです。
ただ。芝のレースは上がり勝負が多いので、補正する必要があります。
タイムフィルターにもスローペース補正は入っていて、寧ろそれがウリなのですが、2021年現在だともう少し補正が必要なはずです。
具体的には「スローの上がり比べの指数が実態より低く出ている」印象があります。
芝とダートの指数を比べるとダートの方が高い指数が出やすいです。
また、芝コースでも前半ハイペースだと指数が出やすいです。
ちなみに、このタイムフィルターの製作者である市丸博司さんは「競馬予想 TV」 というフジテレビ系列の CS 放送に出てまして、そこでの予想は、高い指数を出した馬を単純に本命とするのではなく
・今回の条件とかけ離れている条件で走った指数は除外(例えば芝の1600Mの場合は、芝の1400M~2000Mの指数しか使わないという意味です)。
・過去のレース傾向を見て、ペースバランスから外れる指数も除外
といったように、再現性の無さそうなレースでの指数は除外しています。
それで、ここからが重要な話なのですが、芝のレースの場合、スローペースで出した指数を比較して、その上位の馬がレースでも上位に来る傾向があります。
言い換えれば「当日実際に行われたレースがハイペースであっても、過去にスローペースで高い指数を出した事がある馬が上位に来やすい」という意味です。
そういった理由で、市丸博司さんは芝の中長距離戦を予想する場合、スローペースで出した指数だけを比較して本命・対抗を決める事が多くなっています。
でもコレって言い換えたら、最初に解説した通り、スローペースの補正が十分じゃないから、本来の実力よりも低い数字が出ていると考えられるでしょう。
そのため、僕自身はタイムフィルターのそのまま使うわけではなく、スローペースで出した指数はプラスにして考えています。
他にも高速馬場や不良馬場の数字は注意した方がいいです。
騎手も人間ですし、時計を見ながら競馬はできないので、普段と違う馬場ならペース判断ミスが多くなるのも仕方ありません。
ただ、極端なペースのレースが増えてしまうと、指数を構成要素の一つである「馬場補正」が正しく評価できてない可能性があります。
そういったレースの指数は注意して下さい。
僕自身タイムフィルターは使ってますが、ただ単に高い数字を出した馬を買うわけではありません。能力評価は着差も参考にしますし、若駒などは素質なども参考にします。
極端な例を挙げると、2020年の朝日杯はタイムフィルター指数上位3頭を消し(レッドベルオーブ・ホウオウアマゾン・スーパーホープ)、指数最下位のドゥラモンドを本命としました。
ドゥラモンド本命については、間違いだったと反省しております。
消し馬についてはこういうツイートをしました。
消し馬
レッドベルオーブ
ホウオウアマゾン
スーパーホープ
ビゾンテノブファロ
カイザーノヴァ
ブルースピリットデイリー杯組は過剰人気と判断して、思い切って全消し。理由は長いので省略しますが、この動画を見ればで序盤の触りくらいは誰でも解ると思います。https://t.co/cd7iOglpED
— メタボ教授@競馬アカウント (@metabopro) December 19, 2020
この解説をしておきます。
デイリー杯の指数が本来の実力よりも高く出すぎていると判断したからです。
とは言え、上記の3頭の指数は後傾型のML(スローペース)のため、ハイペースにより数値が跳ね上がったわけではありません。
問題なのはこの週に行われた他のレースです。
京都競馬場が改修のため、阪神開催となった訳ですが、この週は何故か超高速馬場で、時計が出やすい状態でした。先ほども解説しました通り、騎手も人間であり、ストップウォッチを見ながら競馬をしているわけではないので、ペース判断を間違えることはよくあります。
その極端な例が、デイリー杯の翌日に行われた「エリザベス女王杯」です。
逃げたノームコアですら、この週の馬場を考えたら前半のペースが遅すぎます。
後半ではロングスパートレースとなり、それなりの指数は出てますが、最適なペースで走れたデイリー杯の方が高い指数が出やすいはずです。
開催された多くのレースが、適切なペースで走れてないと、適切な馬場補正ができないはずなので、デイリー杯のレコードタイムや高いスピード指数はおそらく価値がないと考えて、人気だったデイリー杯組を全部消しました。
この考え方が正しいかどうかはわかりませんが、僕はそのような視点で予想をしています。
重ねて言いますが、スピード指数自体は非常に有効なものであり、見ないよりかは見た方がいいですが、高い指数を出している馬を適当に買うだけでは勝てません。
そのことだけは、覚えておいて下さい。