2017年の春天は高速馬場+レコードタイム決着となり、そのレースを走った馬はしばらくの間不振に陥ります。
10月には大雨により道悪馬場でのレースが多く開催されました。
「高速馬場や道悪馬場を走った場合のダメージ」が各所で議論されてますが、今回は僕なりの判断方法を紹介します。
高速馬場と道悪馬場との違い
基本的には調教やパドックを見て判断するので、高速馬場だからどうこう、不良馬場だからどうこうという理由だけで取捨選択はしません。
データだけを見ると前走「高速馬場」「不良馬場」を走った馬の回収率は大して変わらないです(高速馬場は京都開催の一部と最終週G1開催時に突如出現したインチキ高速馬場をサンプリング)。
一般的には「高速馬場は怪我をしやすいが、不良馬場は疲れるだけなので大丈夫」と考えられています。
僕もその通りだと思うのですが、もう少し掘り下げてみましょう。
「高速馬場のダメージ」と「不良馬場のダメージ」というのは「気が付きやすさ」という点で大きく異るはずです。
例えば2017年の皐月賞は高速馬場でした。
僕の本命馬はファンディーナでしたが、4コーナーでかなりの手応えであるにもかかわらず、坂の手前で止まってしまいます。
高速馬場なら惰性で走れるので、坂の手前で止まるのは珍しいです。
振り返り記事で「怪我したのかも?」と書きましたが、調教師の判断はどっち付かずでした。
「次走は様子を見てから」とコメントしています。
5月の頭に調教をやってみた結果、「こりゃダメだ」となり放牧に出ました。
放牧から復帰後のレース結果はご存知の通り。
おそらく、怪我したままで調教したのが良くなかったと思います。
高速レコードの春天→宝塚と使った馬でも凡走した馬ばかり取り上げられますが、宝塚で好走したゴールドアクターとシャケトラは、その後の様子を見る限り、「春天で負ったダメージが悪化した」可能性もあるでしょう。
一方で不良馬場を走った馬は、「やせ細る」など目に見える解りやすさのはずです。
ダメージのある馬はすぐ放牧に出されます。
そこが高速馬場と不良馬場の違いです。
大事なのはローテーション
「高速馬場」「不良馬場」に共通するのはペース配分によるダメージの違いです。
スローならダメージが少ないですし、最後にバッタバタになる厳しい流れならダメージは大きいと個人的に考えています。
それとローテーションの問題です。
休ませれば問題ありませんが、使うレースが既に決まっていれば使わざるを得ません。
2017年のジャパンカップがいい例でしょう。
1-2着馬はゆったりローテーションだったのに対して、不良馬場を走った秋天組はキタサンブラックの3着が最高で、4着以下は大きく離されました。
キタサンブラックやサトノクラウンは秋天後少し長めに休みましたが、その分だけ調教本数が少なくなっています。
疲れは取れたと思いますが、2週間やそこらで馬を仕上げるのは無理だったようです。
特にサトノクラウンは美浦から遠く離れた場所で仕上げている馬なので(滋賀県:ノーザンファームしがらき)、在厩調整自体がよくありません。
堀厩舎のモーリスやネオリアリズムが間隔を詰めて使えないのも同じ理由です。
ゆえにジャパンカップの予想記事ではサトノクラウンを「JCをパスして有馬を使うと思ったが、何故出走しているのか理解出来ない」という評価で無印にしました。
おそらく早い段階で堀厩舎とムーア騎手との間にそういった契約が存在していたのだと思います(結果的にムーアは上位契約のあるアイダホに騎乗)。
このように、早い段階からローテーションが決まっている場合は非常に危険です。
一方で秋華賞や菊花賞を使った3歳馬は、その後のローテーションが事前に決まっているわけではありません。
状態を見て、次使うレースを決めています。
そういった場合だと、普通に走る可能性が高いわけです。
いざ文字として起こすと「当たり前レベル」の内容ですが、気がついてない人も多いので補講として取り上げました。