先日、某所で喋らせて頂く機会があり、次のような質問を受けました。
機械で自動的に買い目を選ぶプログラムが販売されているのを見ましたが、それって勝てるのですか?
結論から言えば
「そんなプログラムがあっても、表に出てこない(オッズが下がるだけなので)」
という当たり前の回答となります。
機械学習・人工知能で競馬攻略に挑む人は年々増えている印象です。
その内、将棋や囲碁のように「人を上回る競馬予想プログラム」のは、まだまだ先だと考えています。
そういった話をした上で、
AIが人を超えるためには3つの壁が存在する
という内容を解説しました。
今回はそれを紹介しようと思います。
3つの壁とは具体的に
・演算の壁
・真偽の壁
・物理の壁
です。
演算の壁
将棋や囲碁は人間より強くなりましたが、まだまだ改良の余地はあるでしょう。
全ての手順を解析すれば、コンピューター同士の対局は
「先手が必ず勝つ」
「後手が必ず勝つ」
「必ず引き分ける」
のどれかに偏るはずです。
オセロは20年前に人より強い機械が登場しましたが、完全解析が出来ているのは6×6マスまでとなっています(後手が必ず勝利)。
パソコン自体、年々進歩しているものの、一般向けPCは基本コスパ最優先で作られており、スーパーコンピューターレベルの性能機は入手不可能です。
ちなみに、AIを組むのに必要なスペックを満たすPCは安いものでも20万円かかります。
JRA-VANのデータをこねくり回すだけなら、最低限のスペックで十分だと思いますが、競馬はそれで勝てるほど甘くありません。
他のデータも取り込む必要があるため、どれだけの性能が必要になるかは想像が付かないです。
真偽の壁
じゃあ何のデータを取り込ませるか?
という話になった時に
取り込む情報(学習させる情報)の精度から考えないといけません。
囲碁や将棋は「過去の棋譜を学習」させたり、「機械同士で対戦」して強くなりましたが、それは「勝ち負けの情報が100%正確」であるから学習の効果が出ます。
もし仮に棋譜データの勝敗が一定の確率で偽だった場合、人より強いプログラムを作るのは不可能でしょう。
例えば、「ネットに落ちている上手い人の予想を取り入れる」ようとしても、
誰が本当に上手いのか?
を判別するのは至難の業となります。
有料予想の買い目を取り込んでも、お察しの通りです。
厩舎情報にしても
「嘘を嘘と見分ける力」
が必要となります。
そのため、何でもかんでも学習させると逆に当たらなくなるはずです。
物理の壁
当たり前の話ですが、コンピューターはネットワークとつながっている情報しか学習出来ません。
ネットにつながってない情報をどう収集するのか?
が成否の鍵となるはずです。
競馬の場合、機械で映像解析すら難しいのではないでしょうか。
何故ならレース映像はあくまで1視点であり、パトロールビデオと併用しないと解らない事例が沢山あるからです。
また馬の特性やラップタイムや馬場差も考慮しないといけません。
ネットにある映像を解析するだけでも難しいですし、ネットに無い情報を取り入れるのはまだまだ不可能です。
といった感じで僕が考える「AIが超えなければいけない3つの壁」についてお話させて頂きました。
ここ20年の「AI」や「競馬予想」の発展を見る限り、あと20年は壁を超えられないと考えています。
僕がAIを作る側に回っても面白いですが、現実問題、競馬データ関連の企業と提携しないと不可能です。
当面はアナログ予想家として頑張っていきます。